【第96回】モーダルミックスがリスクを下げる

鉄道はリスクが高い?
車軸圧のデータ改ざんによりJR貨物の車両を一斉点検し、一時的に全列車の運転を取りやめたニュースをご覧になった方は多いかと思います。私の周りでも「JR貨物の利用はリスクが高いのではないか」「全列車運休は大変なことだ」など様々な意見を聞きました。事象の全容についてはまだ分からないことも多いため、詳らかになるまでは私自身の意見を述べるのは控えますが、聞こえてきた様々な声については、思うところもあるため私見を述べたいと思います。
全列車の運休
ニュースでも大きく取り上げられたため、かなりショックを受けた方も多かったかと思います。また、実際に影響を受けた荷物もあり、身近なところでは、鉄道コンテナで運ばれる雑誌が書店に並ぶタイミングが遅れた等、SNSでも散見しました。しかし、実際には点検が終了した車両、列車から順次運行を再開しており、全ての列車が停止した時間は1日に満たないものでした。
JR貨物の利用はリスクが高いのではないか
モーダルシフトのため貨物鉄道輸送を利用しようという動きが高まっている中での今回の事象は、利用を躊躇する荷主が増えるのではないかという意見がありました。報道などを見てそう思われる荷主が現れることは予想できますが、リスクの高さは物流の手段を複数確保することで低くすることができます。鉄道や船舶、トラック輸送を上手に組み合わせる「モーダルミックス」こそが、モノが運べないリスクを下げる最適解なのです。
このコラムでも取り上げてきましたが、鉄道での輸送は天候などの影響を受けやすく、災害時の復旧も他の輸送手段より時間がかかるのは事実です。しかし、通運会社はお客様の荷物をいかに予定通りスムースに運べるかということを第一に考えています。クロスドック輸送や、悪天候が予想される場合の輸送の事前調整や、別手段の提案。輸送が決まった時のご連絡だけでなく、輸送についてのご相談先であり、ご訪問時はサザエさんにおける三河屋のサブちゃんのように、なんでも話していただきたい…と、輸送営業時から思っていましたし、今もその思いは変わりません。