Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

JRダイヤ改正と、荷物の行方。


毎年3月の第2土曜日は、JRグループ各社のダイヤ改正が行われます。JR貨物も例外ではなく、昨年12月18日にはダイヤ改正の主な内容が発表されました。
 

大きなところでは、宅配便を中心とした積合せ貨物の利用増加に伴う、専用及び一部専用列車の新設が挙げられます。新しい生活様式が浸透し、通販を利用する機会が多くなった方もいらっしゃるかと思います。このような需要の増大に応える形で、上下合わせて6本の列車が新設されることとなりました。
 

個人的に気にかかるのは、ガラリと運転時刻が変わる列車です。名古屋と東京を結ぶ直行列車、1093〜3093レと3092〜1092レがその対象で、ニュースリリースには「列車の運転時刻を夜間から昼間に見直します」とあります。
 

ふーん、まあ、列車がなくなるわけじゃないし、夜から昼にかわったところでそんなに変わらないんじゃないの?と思われた方、それは大きな間違いなのです。名古屋貨物ターミナル駅22:57発東京貨物ターミナル駅着4:52着だった列車が、9:11発17:38着に。ということは、月曜日に集荷した荷物を同じ列車に載せて、これまでは翌日朝には関東圏へ荷降ろしできていたものが、火曜日発の列車で同日夕方着。降ろせるのは水曜日と、大幅にリードタイムが変わってしまうのです。この列車以外の取り扱いがどのように変わってくるかは分からないので何とも言えないのですが、定期的にこの列車に載せていた荷物の扱いがどうなってくるのか。お客様(荷主)から「じゃあこの荷物はトラックに切り替えます」という判断が下されてしまうのか、何としてもリードタイムを死守するために、元々込み合う列車の枠が更に取りにくくなってしまうのか…。
 

通運として難しいのは、ダイヤ変更や枠の取りづらさというのは自社で解決できる問題ではないだけに、その辺りの説明がセンシティブにならざるを得ないことです。それでもお客様に鉄道貨物輸送を使っていただくためにどのようなアプローチができるのか。そもそも、もっと良い列車や到着駅はないのか。他の輸送手段との運賃の比較等々、ダイヤ改正前は通運も少しピリリとするのは事実です。
 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

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小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。