災害に強い輸送体制づくりが鉄道貨物輸送の信頼につながる《物流の安定供給への取り組み—その4》
2023年07月20日(木)
4回に渡ってお届けしてきました、通運連携によるクロスドック訓練の話題。最後は各通運やJR貨物の熱意やご意見をお伝えします。
先に熱く語ってくださった栃木県北通運の岡崎取締役は最後に
「何よりも非常に助かるんです。JR貨物にとっても、通運にとっても三方一両損的な中身で、多少損をするかもしれないけれども、この取り組みによってお客様が戻ってくるでしょう。それが更なる信頼につながっていくと思います」
とお話しになりました。2024年問題を見据え、災害に強い輸送体制づくりを構築することこそが、お客様を含めた結果的な三方よしに繋がるでしょう。
同じく参加した高崎通運の関取締役は、先に行った取材の場でこう話されました。
「これまで、JR貨物も交えた通運間のこういった取り組みはなかったと思います。今回の訓練は中身が濃い。これまでは後手の対応で、今回のような予め想定した行動はありませんでした。今回の訓練を通し、いざ災害が起きた際にほかでも運用できれば良いですね。お客様にもアピールできます」
BCP対策としての今回の取り組みへ大いに賛同してくださると共に、実は災害時に備え、トレーラーを福岡貨物ターミナル駅まで走らせる許可を得ているとのお話しも。お客様の荷物を何としても運ばなければという思いを、ひしひしと感じました。
今回、遠く広島から参加したトナミ運輸中国の金羽木次長は、2018年の豪雨災害による山陽本線不通時の経験も踏まえ
「迅速に形を作っていきたいですよね。明日明後日にも災害がおこる可能性はある。待ったなしの対応が必要です。オール通運会議を経て代行輸送ルートが決まるまでに、待っていられない、お客様を待たせられないと言ってエイヤッと自社で走る通運もあります。スピーディにモノを動かす、お客様を守るという意味でこの取り組みは重要です」
と、実体験も交えながらお話しになりました。
今回の訓練の取りまとめを行ってくださった、JR貨物東海支社営業部の小林主席は
「今回のクロスドック訓練は、南松本駅に環境を整えてもらうなどして実現しました。よーいドンでいきなり行える駅はないと思われます。正式にクロスドックを行うとなると、一駅ごとに訓練を行い課題をクリアしていく必要がありますが、今後利用駅を増やしていきたいです」
と、大きな期待を寄せました。実際、会議の場では南松本駅がキャパシティオーバーになった場合を想定し、北長野駅も共用すべきだという意見が出されました。今後、北長野駅でも訓練が行われる予定です。
会議の最後に、多治見通運関谷社長は
「災害時に少しでもお客様の荷物を運ぶことによって、復旧した時にそのまま継続してご用命いただくこと。信用信頼をつなぐことが大切です。ぜひともこの形がうまく定着して、いろんなところで取り組みが広がり、鉄道貨物輸送が物流の中の選択肢として上位にくるようにしていくのが我々の願いです。引き続きこの取り組みをブラッシュアップしていきましょう」
とお話しになり、会議は終了となりました。
鉄道コンテナにおけるクロスドック体制の構築は、今後の課題もありますし、引き続き各所で訓練が必要です。しかし、今後お客様により安心して荷物を預けていただける、画期的な取り組みとなります。無事に訓練が進み、災害時に円滑な運用が行われることを願ってやみません。(敬称略)
多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
https://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html