『運送』でも『運輸』でもない 「通運」って何かごぞんじですか?
2018年09月14日(金)
はじめまして!鉄道アーティストや鉄道コンテナアドバイザーという肩書きで活動している小倉沙耶(こくら・さや)と申します。
このコラムでは、縁あって多治見通運さんで働かせていただいた経験や、自身の趣味でもある貨物列車の話題などを通運目線で書いていきたいと思っています。
さて、最初に「通運」という言葉を出しました。多治見通運も、多治見『運送』や多治見『運輸』ではなく「通運」です。では通運とはいったい何なのかという話題を、はじめにお届けしたいと思います。
実は現在、法律としては通運と言う言葉は存在せず、通運事業は鉄道利用運送事業という名称になっています。国鉄が発足した翌年の1950(昭和25)年に通運事業法という法律が施行されたのですが、平成2年に廃止。通運の業務は、同じ年に制定された貨物運送取扱事業法(後の貨物利用運送事業法)の中の鉄道運送事業という一つのセクションとなり、通運の名がなくなりました。似たような事例は、警察法の改正による派出所から交番への名称変更があります。名称が変更になったとはいえ、現在も通運の名を冠した会社は多いですし、一般的にもよく用いられているため、ここでは鉄道利用運送事業のことを通運事業と呼びたいと思います。
日本に鉄道が開通したのは1872(明治5)年のことです。その翌年には、新橋~横浜間で鉄道を利用した貨物輸送が始まりました。貨物輸送の歴史としては、鉄道開通前年の1871(明治4)年に陸上貨物輸送を独占的に担う「陸運元会社」が発足、鉄道貨物もこの会社が取り扱いを行いました。陸運元会社は1875(明治8)年に「内国通運会社」と改称されます。その後、1879(明治12)年に陸上貨物輸送事業は自由化、全国に通運事業者が誕生しました。しかし、零細業者が乱立することでトラブルが多発し、再び規制の対象となってしまいます。その後、内国通運会社の流れを汲む特殊会社として誕生した日本通運株式会社に小規模な通運事業者を統合、また戦争により地区毎の通運事業者も統合されていきました。戦後には免許制の下、再び新規参入が許され、現在の形となっていきます。
通運が鉄道貨物を取り扱う事業なのはお分かりいただけたかと思います。じゃあ、実際どんなことを行っているの?という話はまた次回…☆