Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

輸送枠が空かない!そんなときどうする?

引き続き、枠探しのお話しです。

 

前回は、同じ社内での枠の受け渡しについてお話ししました。では、社内にも目的の枠がなく、いつまでも空かない場合はどうするのか。まず相談するのが、JR貨物営業サポートセンターです。サポートセンターでは通運によるIT-FRANS&TRACEシステムの操作や不具合の調整などのほか、輸送枠の調整も行っています。こちらに電話し、他のコンテナの荷物を別の列車に振替できないか相談します。振替ができるようであれば、センターが空けた枠をIT-FRENSで拾い上げ、輸送申込を確定させます。しかし、輸送日と配達日の兼ね合いで、どうしても輸送列車をずらすことができないことも。一生懸命調べてくださった結果
「うーん、この列車はちょっと難しいですね…」
と言われてしまうこともよくありました。

 

ならば!と足を運んだのは、JR貨物の営業支店(私がお世話になっていた中京支店は、名古屋貨物ターミナル内にあります)。営業支店ではその名のとおり荷主さんへの営業のほか、管轄駅の通運への各種連絡や情報の取りまとめなどを行っている、頼れる存在です。サポートセンターと同じく、輸送枠がなんとか空かないか相談すると
「○○通運さんのこの枠、15時まで輸送申込がなかったら空く可能性もあるから、それくらいの時間にまた来てもらえたらなんとかなるかも」
「この枠って、もう少し前倒しできるかも。ちょっと△△通運さんに訊いてみますね」
など、うまく載せられるよう調整してくださいます。これは、管轄の通運の事情や輸送状況などを把握しているからこそ。そして他通運さんが枠を移動してくださり、なんとか目的の枠を手に入れることができたのでした。

 

電子化されたコンテナの予約システムですが、最後に頼りになるのは、やっぱり人の力。通運同士はライバルにもなりますが、同じ駅からコンテナを出すにあたり、協力し合うことも多々あります。その間に入るのは営業支店であり、枠移動をお願いされたらできるだけ協力することによって、最適な列車でコンテナを運ぶことができるのです。

 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

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小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。