自然災害と通運業界
2019年10月07日(月)
台風や地震といった災害による土砂崩れ等で線路が不通となり、旅客・貨物列車が運休になることがあります。そのような時、人の輸送は他路線への振り替えやバスでの代行輸送を行うことが多いですが、同じようなことを、鉄道貨物輸送でも行うことがあります。
東日本大震災で多くの路線が被災した際には、勾配がきつく普段は貨物列車が通らない磐越西線に石油を載せたタンク列車を走らせ、被災地の燃料不足を救いました。また、物流の要となる山陽本線で甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨では、伯備線から山陰本線を経て山口線を走行する、迂回貨物列車が運転されました。このことはニュースでも大きく取り上げられたため、ご存じの方も多いかと思います。私も雑誌の取材で現地に向かい、貨物列車への期待や希望を肌で感じました。しかしながら、この列車の運行は一日一往復、コンテナ車は6〜7両で12フィートコンテナの積載数は30〜35個と、輸送力としては少ないものでした。代行輸送の主力となったのは主に船舶とトラックで、普段は東濃地域と名古屋近郊で鉄道コンテナ輸送を行っている多治見通運からも、代行輸送の応援が行われました。
長期の運休が見込まれる時には、JR貨物や通運団体などが集まり、トラック代行が行える通運や船舶輸送の状況など、様々な情報を共有する「オール通運対策会議」が開かれます。この会議によって、どの駅間をどれくらいのトラックと船でカバーするか等、具体的な輸送力の調整を行い、これらが決定されると、JR貨物や通運が使用する輸送管理システムであるIT-FRENSに、列車と同じような形で組み込まれます。
代行輸送は不通区間の会社だけではなく、全国の通運が協力して行います。平成30年7月豪雨の際も、様々な地域のナンバープレートをつけた通運トラックやトレーラーが山陽地域を走りました。他地域に目や気を配り、困った時はお互い様と、普段から助け合う通運業界。災害や不通は無いのが一番ですが、実際はそうもいきません。ピンチの時こそ、その底力で物流を支えています。
多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
https://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html