封印環の怖い話。
2020年08月15日(土)
季節は夏。暑い日が続いていますから、今回は寒くなる話をいたしましょう。
通運勤務時代のある日。私は早朝勤務だったので、IT-FRENSで輸送中のコンテナ位置を照会していました。前日に列車へ積まれて出発したコンテナが、予定通りのルートで到着駅へ向かっているか、遅れが出ていないかを一つ一つ確認するのが、朝一の業務なのです。
あ、ちょっとだけ遅れがでているな…1時間くらいなら経由駅でも余裕があるし、きっと大丈夫。念のため到着時刻にもう一度確認しておこう。この急ぎのコンテナは…よし、無事に到着駅へ着いているな。さて、このコンテナは結構ギリギリの予定なんだよなあ…そろそろ関東圏に入ったかしらね…
【所在:名古屋タ】
…ん?あれ?更新されてないのかな。とりあえず同じ列車に載せた、他のコンテナの照会をしようか。うん、動いてる動いてる。じゃあさっきのコンテナをもう一回…
【所在:名古屋タ】
…んんん?どういうこと?
恐る恐る、私は駅のフロントへ行きました。当該のコンテナについて尋ねると、背中を見せていた担当の方がゆっくりとこちらを振り向き、恐ろしい言葉を発したのです…
「ああ、そのコンテナ。積み付け確認の時に封印環忘れだったのではねられてますね」
前回(『「封印環」って?』)、IT-FRENSへは封印環番号を入力する必要があるとお伝えしました。きちんと入力され、不備がなければ発送準備が完了となり、ここからはJR貨物さんにお任せとなります。JR貨物さんはそれぞれのコンテナを貨車に載せ、荷役が完了すると、積み付け検査が行われます。ここで、コンテナがきちんと緊締装置(コンテナを貨車に固定するための装置)に緊締されているか、コンテナの扉を開閉するためのカム軸が外れていないか、封印環が付けられているかなどがチェックされます。
そこで封印環が取り付けられていなかったということで、フロントから電話連絡が入りました。ごくまれに同じような事態が起きても、普段であればドライバー若しくは事務所の人間が確認し、封印環を取り付けて事なきを得ます。しかし、列車出発が深夜であり、積み付け確認が行われたのは事務所の人間が全員帰った後。出発に間に合わず、そのまま名古屋貨物ターミナル駅に置いてけぼりとなったのでした。
慌てて最速の列車枠を確保し、コンテナを発送することができましたが、お客様への説明に肝を冷やしたことはご想像いただけるかと思います。
その後、二度と同じミスが起きないよう、チェックの強化等を行うようになりました。また、封印環忘れやカム軸外れ等の情報は、同じ駅で作業を行う全ての通運やJR貨物の様々な部署の代表者が集まる月例会議にて共有され、一丸となって再発防止に取り組んでいます。
ああ、今思い出しても背筋がぞっとする…そんな苦い思い出でした。
多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html