第2回 通運間クロスドック実施【後編】
2024年08月01日(木)
最適な「代行輸送」はどれ?
前回の続きです。
普段利用しない貨物駅に入り、通常とは違う伝票を持ち、他のエリアの通運ドライバーと連携して作業を行うのが、鉄道コンテナにおけるクロスドック作業。現場の負担をいかに低減させるか、意見の擦り合わせが行われました。クロスドックを行うにあたり、本来ならば列車で輸送するべきところをトラックで代行輸送する形となるため、貨物駅からコンテナを持ち出す際に伝票は「代行輸送中」の状態となります。代行輸送もその形態によって細分化されており、今回はJR貨物側とも調整して「区間代行」を選択し、北長野駅のドライバーズシステムを通したのですが、IT-FRENSと連携がとれた状態になりませんでした。作業自体は滞りなく行えたものの、交換した互いのコンテナがそれぞれの駅に到着して再びドライバーズシステムを操作するまで、宙ぶらりんの状態が続いてしまうため(手動で諸々書き換えることは可能です)、第一回の南松本駅で行ったときの「通常代行」で行うのが良いという結論に。
訓練を行うからこそみえてくるもの
システム上の動きというのは、机上ではあれこれ考えられるものの、実際に作業を行わなければ見えてこない課題などもあります。今回は、JR貨物のシステム担当者がフォークリフトに同乗し、コンテナ積み下ろしにおける操作毎にリフトの画面上でコンテナ状態がどう変わるかを、ひとつひとつ確認しました。
実は昨年、山陽本線で不通区間が発生した際、広島駅において通運間クロスドックを行ったそうです。突然のことで、訓練ももちろんなし。伝票上でイレギュラーな事態なども起こったそうですが、無事に完遂。ならば、ここまで丁寧に予行練習しなくても良いのではないかと思ったのですが、多治見通運関谷社長は、今回のクロスドック後の意見公開の場でこう仰いました。
「きちんと作業を確立して、マニュアル化を行いたい。そうすれば、他の駅でも展開できる」
JR貨物としては、不通区間における代行輸送に関しては、オール通運会議を行った上で、トラック代行輸送としてIT-FRENSに落とし込むというスキームが既に存在しています。こちらとの住み分けや各所費用の按分など課題もありますが、すぐにでも、そして少しでもコンテナを動かせる体制をつくるというのが通運間クロスドックの趣旨であり、そのためには、平常時の予行練習や意見の擦り合わせをどれだけ行えるのかが重要だということを、この言葉で改めて感じました。
「2つのスキームがあるとどうしても大きい方が優先されてしまう。(代行輸送費などの)金額がクローズアップされてしまうが、時間が優先であるべき」
とは、栃木県北通運岡崎取締役による弁。オール通運会議によって代行輸送量やルートが決定されるまで日数がかかるからこそ、クロスドック体制を確立することは急務となります。
今後も動きがありましたら、このコラムでお伝えしたいと思います。