オフレールステーション(ORS)のはなし
2019年02月15日(金)
「鉄道貨物輸送って、鉄道が通ってるとこしか運べないんでしょ?」
これは、多くの方から受ける質問です。実際には、鉄道貨物輸送は鉄道とトラック輸送を組み合わせた複合一貫輸送であり、大型トラックが行ける所ならば…極端な話、トラックが入れなければそれより小さな車に乗せ換えて運ぶことも可能なため、基本的にはどこへでも運ぶことができます。
しかし、現実的に見れば積み替えは手間がかかりますし、貨物駅から遠くなれば遠くなるほどトラック輸送の距離が長くなるため、長距離トラックの方がコストダウンとなることも。
貨物駅が多ければトラック輸送の距離は短くて済みますが、取扱い貨物量が少なくなった駅の中には、鉄道輸送を行わずコンテナのみの取扱いを行うオフレールステーション(以下ORS)や営業所となったところもあります。近年では北陸線の敦賀~敦賀港間が2016年に休止しORS化、輸送量の拡大に取り組んだものの振るわず、今年4月1日をもって鉄道での輸送が廃止になることが発表されました。
ORSには鉄路が延びていないため、最寄の貨物駅からトラック輸送でコンテナが運ばれます。これはトラック便と呼び、貨物駅~ORS間は貨物駅があった頃の営業キロで運賃計算されています。貨物駅~ORS~卸地まで同じ通運会社が担当することもありますが、貨物駅~ORSまではあくまでも鉄道輸送の代行としてトラックを用いているため、一旦ORSで到着手続きをとり、その後卸地へ向かうこととなります。
ORSは全国各地に30カ所以上存在しています。そのほとんどが敦賀港駅のように輸送量の低下から輸送方法が切り替わったという歴史がありますが、羽生と刈谷は最初からORSとして誕生しました。どちらも付近に貨物駅がないものの、旺盛な利用が見込まれることから開設され、業務をしていても「ここにORSがあって良かった!」と感じたことが何度もあります。
駅やORSといったコンテナの中継地点があるからこそ、トラック輸送の距離が短くて済み、トラック1台でより多くのコンテナを扱うことができます。距離が長ければ1つのコンテナにおけるドライバーの拘束時間が長くなり、複合輸送のメリットが活かせられません。
鉄路が繋がっていないため、なかなか注目されにくいORSですが、その存在意義はとても大きいものなのです。
多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html