Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

名古屋臨海鉄道親子ツアーレポート【後編】

通風コンテナと青果物

名古屋臨海鉄道親子ツアーレポートの後編です。

 

コンテナゾーンでは様々な体験プログラムが用意されていました。中でもコンテナの開閉体験は、子供さんだけでなく保護者の方にも人気で、封印環の取り付け体験も実施。以前このコラムでもお伝えしましたが、私が多治見通運を退社した後に封印環が金属タイプから樹脂製となり、実は現行のタイプを取り付けたことがなかったので、私も体験させていただきました。金属タイプよりも封印時のカチッとはまる感覚が鈍い印象でしたが、細身で扱いやすい印象です。

 

 

 

開閉体験の行われていたコンテナは通風コンテナだったので、封印環取り付け体験の後「久々なので通風孔の開け閉めをしても良いですか?」とお願いしたところ快諾をいただき、久々にコンテナ内部の通風装置を操作。バネが入っているため少し力が必要なのですが、バチン!と開閉するのは気持ちが良く、現役の頃を思い出すことができました。

保護者の方々も通風孔に興味津々。親子ツアーの開催は5月末。ちょうど九州方面から、通風コンテナに載ってタマネギなどがやってくるシーズンです。それらも通風コンテナによって、熱や湿気がこもらずに運べている…というと、スタッフさんからは「水分の多い玉ねぎは、普通のコンテナで運んでいると、コンテナを開けた時に内壁がしっとりしていることもありますよ」という言葉が。積み込み時に立ち会いすることは多かったのですが、降ろし作業に同伴することは少なく、特に市場へ持ち込むことが多い青果物入りコンテナは開封の経験がなかったので、私自身も勉強になりました。

 

大人気の冷凍コンテナ体験とおもてなしの心

お子さんに一番人気だったのは「冷凍コンテナでマイナス25度体験」。31ftの冷凍コンテナの中に入ることができるという、これまでの鉄道貨物イベントではなかったであろうスペシャル体験に、皆大はしゃぎ。それだけではなく、入るときに「奥にシャーベットがあるから、一人一本持ってきて良いよ」と言われたら、大人だって心ときめきます。

 

 

中に入ると、温度変化を少なくするため、扉をギリギリまで閉じられました。これでは内部の様子が分からないと思ったのですが、照明つきで一安心。保冷コンテナのようにアルミの内張り、そしてラッシングレールが施された奥には、冷気の吹き出し口が。コンテナ外側の部分に冷凍ユニットがあり、発電用エンジンが動いています。

 

 

 

そのほか、ウィングコンテナの開閉やフォークリフト乗車体験などが行われ、最後も「壁」と退場ゲートが。ここでお土産を受け取り、参加者たちは名鉄築港線へと向かったのでした。

去り行くバスが見えなくなるまでずっと手を振るスタッフさん。手には横断幕やお見送りのうちわが。

 

 

「また来てね さようなら」…最後まで心のこもったおもてなしに、参加された方たちも「こんな方たちが荷物を扱ってくれたら安心だ」という思いになったことでしょう。ツアーを通し、貨物輸送の心構えについても学んだ一日でした。

 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
https://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。