Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

自然災害と鉄道貨物輸送のはなし

近年、台風などの自然災害により、交通網のみならず生活基盤に甚大な被害をもたらすことが多く、その度に心を痛めています。

 

鉄道貨物輸送の仕事に携わっていると、自身の住んでいる地域だけでなく、日本各地の気象状況を把握することが必要になります。この連載では第7回で、通運と雪について書きましたが、台風の状況ももちろん気を配ります。積雪予想時と同じく、お客様の荷物を予定通り運べるよう早めに送ることを提案したり、コンテナ以外の輸送方法をご提案することも。

 

鉄道コンテナの輸送は、JR貨物さん、そして発通運と着通運の連携によって成り立っているということもあり、自然災害で被害を受けたエリアの様子をニュースなどで見る度、その地域の通運さんのご状況が気になります。

 

今でも、忘れられないやり取りがあります。ある日、台風により甚大な被害を受け、路線が不通になっているエリアの通運さんに輸送の連絡で電話をしました。

 

「〇〇さん、大丈夫ですか?皆様ご無事ですか?」

「人的な被害はないのでとりあえず大丈夫です。運転再開の時期がまだ見えないので、状況が分かったらまたご連絡しますね」

「分かりました、ありがとうございます。今はお天気の方はいかがですか?」

「空は……すごく青いんですけどね…」

 

ゆっくりと、ため息をつくかのように仰られた言葉。困難な状況が透けて見えて、胸が締め付けられるような気持ちになりました。

 

災害により線路が被害を受け、長期間にわたり不通になることはままあります。今年関東に上陸した台風15号は特に千葉県で猛威を振るい、運転再開まで日数を要しました(現在も久留里線一部区間は運休)。九州や中国地方に甚大な被害をもたらした、平成30年7月豪雨を思い浮かべる方も多いかもしれません。西日本の輸送の要でもある山陽本線が大きな被害を受けたということもあり、物流は混乱。生活物資の輸送などにも大きな影響が出ました。そのような時、鉄道コンテナの輸送はどうするのでしょうか。次回は、線路不通時の輸送方法についてお伝えします。

 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
https://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。