より安全な輸送体系をめざして〜“偏積”のはなし
2019年11月15日(金)
パロマコンテナ輸送のお話しの中で、偏積について少しお伝えしました。トラックでは偏荷重という言い方がなされますが、コンテナでは積み荷の重さが局所的に偏っていることを偏積と呼びます。鉄道コンテナはコンテナを積載するための貨車(以下、コンテナ車)に載せられ、機関車で牽引して目的の駅まで運ばれます。コンテナ車はレールの上を走行しますから、走り装置である台車を履いています。この台車の左右にかかる重量があまりにも違いすぎる場合、特にカーブにおいて車輪へかかる重さのアンバランスさから脱線へと至る可能性があります。
2012年と2014年に相次いで起きたJR北海道江差線脱線事故の原因についても、偏積が一因という結論が国土交通省運輸安全委員会からなされ、JR貨物は「輪重測定装置」を導入しました。青函トンネルを通るコンテナ車に対し、レールのたわみを測定することで輪重へ換算、輪重比が大きい場合は本州側の東青森駅、北海道側では函館貨物駅にて当該コンテナ車の切り離し作業が行われます。その後、コンテナ車に載るコンテナをすべてチェック。偏積状態が指摘されたコンテナは積み荷を直し、重量計で測定して安全であるという確認がとれるまで、決して青函トンネルを通ることができません。
もしも自社の荷物が東青森駅で引っかかってしまったら…近くの通運さんにお願いして直してもらうか、発送駅まで戻してもらうしかありません。どちらも手間や日数、料金がかかってきます。
偏積というのはあってはならないことです。JR貨物と通運の運送上の契約事項である「貨物運送約款」にも「貨物は、床面上にその重量が均衡するよう、かつ、容易に移動しないよう積み込むものとします」と明文化されていますし、各駅でも偏積防止のためのチェック等を行っています。パレット積みの荷物をそのまま載せる場合は、偏りが出ないよう、より注意深く載せます。時には荷主さんに了承を得て、パレット上の荷物の積みかえを行うことも。判断が難しい場合は、コンテナを載せたトラックが駅に到着した後、トラックの沈み具合のバランスを計測して確認する場合もあります。
全国通運連盟では、偏積を簡易的に防止するための「偏積防止マニュアル」を作成するなど、より安全な輸送体系のため、多方向から偏積を防ぐための取り組みを行っています。
多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html