Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

物流にもご当地お荷物や期間限定お荷物があります!

トヨタロングパスエクスプレス

日本全国、その土地ならではのグルメがあるように、物流でも「○○といえば△△!」というご当地荷物があります。第5回でご紹介した北海道からのイモタマもそうですし、たとえば石巻ですと紙輸送、多治見通運の本社がある多治見、東濃地方は美濃焼で知られる陶器の産地で、現在もタイル輸送などが盛んです。

 

私が通運の仕事をしていた名古屋も、製造大国ということで様々な機械や部品などが運ばれています。その中でもご当地感が強いのは、名古屋南貨物駅から盛岡貨物ターミナルへと向かう「トヨタロングパスエクスプレス」です。その名のとおり、トヨタ工場間輸送専用列車で、一般的な大きさの12ftではなく30ft・31ftと大きいコンテナが使われています。コンテナ色は青で統一されていて、インパクト大。名古屋南貨物駅から笠寺駅までは名古屋臨海鉄道所有の機関車に牽引されます。こちらも青色のボディのため、連なる様はとても美しいですよ。また、今年春のダイヤ改正から、名古屋南貨物駅~北九州貨物ターミナル駅間で自動車部品輸送がはじまります。直通輸送力はコンテナ50個分と大きく、名古屋エリアのものづくりの強さを感じます。

トヨタロングパスエクスプレスのコンテナ

 

大規模建設などによって発生した埋立土砂や建設残土などが、鉄道を使って輸送されることもあります。これも期間限定の「ご当地ならでは」荷物です。たとえば中部国際空港建設時には、三岐鉄道が埋立土砂の輸送を担いました。東藤原駅~四日市港駅間を、最大でなんと1日9往復!開業以来最も多い輸送量となる500万トンもの土砂を、30ヵ月かけて輸送しました。2027年の品川駅~名古屋駅間開業に向けて工事が進められている、リニア中央新幹線の梶ヶ谷非常口及び資材搬入口新設工事でも、発生した残土を専用鉄道コンテナで輸送しています。この輸送は2017年5月から行われていて、工期は2020年7月までを予定。その後のトンネル掘削工事についても、できる限り鉄道貨物輸送を活用したいそうですが、詳細は未定とのこと。いずれにせよ期間限定には違いなく、注目の貨物列車です。

 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

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小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。