Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

「モーダルシフト」とは?

 

前回の『「鉄道での輸送って結局安いの?高いの?」分散物流で得られるリスク回避のメリット』では、分散物流についてお伝えいたしました。

 

複数の物流手段を持ち、リスクを減らす。この分散物流と共に語られることが多いのが「モーダルシフト」という言葉です。モーダルシフトとは、より環境に優しい輸送手段へと転換を図ることを指します。例えば、トラック輸送から鉄道輸送へとモーダルシフトすることにより、二酸化炭素の排出量を1/11まで減らすことができます。輸送距離が長くなれば二酸化炭素の排出量も増えるため、トラックで行っていた長距離輸送を鉄道での輸送に切り替えることによって、環境負荷を少なくすることができるのです。とはいえ、トラック輸送の方が効率の良い場合もあります。上手な使い分けや外部倉庫などを活用して、輸送の効率化を図ることで、よりクリーンな輸送を実現することができます。

 

また、モーダルシフトへの取り組みを促す国策の一つとして「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」があります。元々は2度のオイルショックを契機として、エネルギーを効率的に利用していくことを目的として制定されたもので、通称「省エネ法」と呼び、経済成長やビジネスモデルの変化に応じて何度か改正を繰り返しています。省エネ法の中では様々な事業者が対象となり、時代に合った省エネルギー手法をとるよう、規範や規制が定められています。その中に、荷主も省エネ法の中でモーダルシフトに積極的に関わることを求める「荷主に係る措置」というものがあります。貨物輸送に係る年間の発注量が3000万トンキロ以上の荷主(企業単位)において、省エネ計画の作成やエネルギー使用量等の定期報告などが義務付けられました。これを「特定荷主」と呼び、モーダルシフトなどに荷主が積極的に取り組むための仕組みづくりがなされたのです。また、特定荷主以外も物流量を把握する必要があり、省エネルギーへの自主的な努力が求められます。

 

物流量を把握してそのCO2排出量をコントロールする中で、鉄道貨物輸送は大きく注目されることとなりました。コストカット手段としての輸送から、付加価値のある輸送へ…

 

次回は、モーダルシフトから更に一歩踏み込んだ、鉄道貨物輸送関連の取り組みについてお伝えします。

 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

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小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。