物流総合効率化法ってなに?—事業者同士の協力でより安定した供給を
2020年04月15日(水)
前回の『「モーダルシフト」とは?』では、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」通称省エネ法についてお伝えしました。この法律は2018年6月に改正が行われ、新たな省エネの取り組みを促進しています。これまで様々な分野で積極的な省エネが進んだ結果、近年、エネルギー消費効率が足踏み傾向になっていました。そんな状況を打破するため、これまで事業者単位で評価していたエネルギー消費効率について、複数の事業者間の連携により削減した省エネ量を、それぞれの事業者に分配して報告できるようになったのです。
また、別の法律で「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」通称、物流総合効率化法というものがあります。こちらは物流の傾向が、必要なものを必要な時にという小口化、多頻度化にシフトしている中で、バラバラになっていた輸送網を集約化したり、配送を共同化するなどして、流通に係る業務をできるだけ総合化・効率化させるための支援を行うために制定されたものです。この法律も、2016年に改正が行われました。それまでは、一定の規模及び機能を有する物流施設を中核とすることが必須だったのですが、この要件がなくなり、2つ以上の事業者が連携して行うことが前提条件となったのです。このため、物流施設の整備を伴わないモーダルシフトや、貨客混載なども対象になりました。合理化を図り、環境負荷の低減や省力化に資する事業について、国土交通省が認定を行い、税制の特例や経費の補助、長期無利子貸付等の支援措置がとられます。
実は、多治見通運でも物流総合効率化法の認定を受けている事業があります。トナミ運輸中国株式会社様、日本貨物鉄道株式会社様、フタムラ化学株式会社様と共同して実施している、活性炭輸送におけるトラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトです。年間のCO2排出削減目標は67.4t-CO2。4社が協力して総合効率化計画を策定、実施することで、1社では成しえなかった省エネを実現させたのです。
省エネ法と物流総合効率化法。2つの法律はアプローチこそ違いますが、共通するのは「連携」です。1つの事業者では難しいことも、協力することによって大きな成果となりえます。新型コロナウイルスの影響により、小売店において一部の商品が品薄になるなど、物流でも影響が出ています。緊急事態宣言を受け、医薬品輸送において、卸業2社が共同配送や納品代行を協業するといった報道も。複数の事業者が協力してより安定した供給に努める事例は、これからますます増えることが予想されます。
多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html