「静脈物流」ってご存じですか?
2020年01月01日(水)
前々回、鉄道コンテナに書かれた変わった表示「R」「り」「いた」の話をしました。ほかにも興味深い記号や表示があります。今回はその中から「W」と書かれたコンテナについて取り上げたいと思います。
静脈物流という言葉をご存じでしょうか。人間の動脈が主に酸素を運び、静脈は不要となった二酸化炭素を運んでいることに例えて使用されている言葉で、生産物輸送は動脈物流、対する静脈物流は廃棄物などの輸送を指しています。
静脈物流で使用されているコンテナは、臭いの付着などがあるため、通常コンテナと区別されています。私有コンテナであれば所有者管理の元で運用できますが、JR貨物所有の静脈物流専用のコンテナは、一般コンテナと混同しないよう、形式に英語で廃棄物を表すwasteの頭文字「W」という表示がつき、さらに黄色地に黒字で丸く囲んだ「環」と書かれたステッカーが貼られ、容易に区別が可能です。
JR貨物は静脈物流に力を入れており、様々な廃棄物の定期輸送が行われています。最終処分されるものだけではなく、セメント原料として資源化するための焼却灰や下水道汚泥輸送などもあり、3R(※1)推進に貢献しています。また、災害廃棄物輸送でも力を発揮。直近では、昨年の台風19号被害により宮城県で発生した廃棄物を、神奈川県にある処理工場で受け入れるにあたり、12月から週に100トン、一日に12ftコンテナ4〜6個を鉄道で輸送しています。
災害時には近隣施設での廃棄物処理が追い付かないこともあり、広域処理の依頼、受け入れ協力が行われることがあります。その際に活躍するのが、大量の荷物を一度に運ぶことが可能な鉄道貨物輸送。阪神淡路大震災では西宮から関東圏、中越沖地震では柏崎から川崎、そして東日本大震災では各被災地から多方面の受入地へと輸送が行われました。
人間の体と同様に、動脈物流と静脈物流どちらも大切。Wそして〇環と書かれたコンテナは、日本の循環型社会を大きく担う存在です。
※1「3R」Reduce(リデュース)=減らす、Reuse(リユース)=再利用、Recycle(リサイクル)=再資源化の3つの英単語の頭文字をとったもの
多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html