Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

乗車できる貨物列車がある!?


長らくご無沙汰をしておりました。
妊娠・出産に伴い、しばらくの間このコラムをお休みしておりましたが、運行を再開いたします。
さて、妊娠中、そして出産後鉄活動を再開してからも感じているのが、どうも生まれてきた息子は、貨物列車に興味がなさそうだということ。
そしてその要因はきっと、自分が乗車できないからなのだと思います。
同じことは世間一般にも言えていて、乗車できない=身近ではないというのは、普段から肌で感じています。
過去には、貨物列車の後ろには車掌車がついていて、車掌(後に列車掛)が乗務していました。これは、過去に「ヤード集結型輸送」という輸送方法がとられていたからです。駅を出た貨物列車は操車場のある駅へと向かい、そこで地域別に割り振られ、連結し直して再び出発。またヤードのある駅で地域別に分けて…というのを繰り返していました。その際、貨車の把握や車両検査、列車防護などを行っていたのが、車掌車の乗務員です。
ヤード集結型輸送が行われていた頃は、各ヤードにおいて貨車を1両単位で増解結するため、複雑な経路かつ、目的地駅への到着にかなりの日数がかかっていました。所要時間もさることながら、多大な労力も必要としていたシステムということもあり、1984年のダイヤ改正で、この輸送方式を全廃。直行系輸送へと大転換を行いました。翌年には機関車に対し、ワンマン化に向けての整備がほぼ完了したことから、原則一人常務となり、車掌車の連結がなくなりました。
役目を終えた車掌車は、民間にも払い下げられ、一部は現在でも駅の待合室として利用されています。
もしかしたら、車掌車が今も連結されていたら、息子ももう少しだけ貨物列車に親しんでくれたのではないかと思っています。でも、自分が乗れないのは変わらないのですけれどね。
本来の役割とは違いますが、多治見通運の近くにある、岐阜県恵那市の明知鉄道明智駅では、圧縮空気を動力として動態保存されている蒸気機関車C12が牽引する、車掌車ヨ8000に乗車することができます(要予約・有料制)。
まずはここから貨物列車に親しんでもらえないかしらと考えている、母なのでした。

 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

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小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。