労働人口が減少する中、物流環境の見直しで鉄道貨物輸送の選択肢を
2023年12月15日(金)
前回の続き、2024年問題について私が思うことの後編です。
貨物鉄道輸送では、これまで長距離メインだった輸送が、500km以下の中小距離で運ばれるコンテナも増えています。これはとても喜ばしいことで、トラック輸送が規制等でカバーできない部分を上手に鉄道で補っていくことは、これからますます必要になります。ただ、不定期の輸送は列車輸送枠が取りにくいのも事実。これから需要が増えるであろう中、JR貨物がいかに列車本数や輸送枠を増やせるかどうかも重要で、国が今年10月に掲げた物流革新緊急パッケージ通り、今後10年で鉄道コンテナ貨物の輸送量を倍増できるかどうかというのも焦点です。
2024年4月から突然、モノが運べなくなるということはないでしょう。しかし、何も対策をしなければじわりじわりと、これまで明日運べていた荷物が明後日になる、輸送が2回に1回は断られてその都度輸送業者を探すといった不便さが出てくるでしょう。輸送を行う側も、限りあるドライバーの労働時間を有効的に配車するため「この物流センターはあまりにも荷待ちが長いから今回断ろう」と考えることが増えるかもしれません。だからこそ、正しい知識をもって、この問題に向き合うことが大切です。昨年国土交通省が行った2024年問題に関するアンケートでも、運送事業者の提出率は80%だったにも関わらず、荷主側は53%。双方ががっぷり四つになっているとはいいがたい状況です。
慌ただしい年末年始を経て、それでもまだ2024年問題へ取り組むのに遅いということはありません。労働人口が減少する中、物流環境の見直しは長い目で見て大きな意味があるはずです。スムーズな物流の構築が進むよう願っています。
本年もこのコラムをご覧いただきありがとうございました。物流に携わる方からも「コラムを読んでいます」と仰っていただけることが多く、とても励みになります。
そして今年11月に発売されたホリプロマネージャー南田裕介さんの著書『貨物列車マニアックス』の中でも、このコラムについて取り上げてくださいました。これからも皆様のお役にたてるよう、精進してまいります。
どうぞ良い年をお迎えください。
多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
https://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html