Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

適材適所のコンテナ選び


 

コンテナ列車は、日々様々なモノを載せて全国各地を結んでいます。これまでご紹介したタマネギジャガイモなどの野菜や、機械部品、お菓子、化学製品など、なんでも運びます。そんな中、ちょっと困ってしまうのが「匂い」の問題。たとえば、ふんわりフローラルな洗剤を運んだ後は、しばらくその匂いがコンテナに残っています。JRコンテナの内部にはベニヤの内張板が取り付けられており、匂いを吸ってしまいやすいのです。匂いが残りそうなコンテナが到着した場合には、その後の集荷も少し気を遣います。食品や紙製品などは匂いを吸着しやすいのでNG。部品や機械など、移っても気にならないようなものを積むよう、配車を組みます。

 

一度、ドライバーさんから
「このコンテナ、なんだかカビ臭いから次の集荷に使わない方が良いと思うよ」
と助言を受けたことがあります。IT-FRENSで履歴を調べてみると、少し前に他社が青果物を運んでいたのですが、天候不良で到着が遅れたようです。もしかしたら、その際に少しカビが生えてしまい、匂いが残ったのかもしれません。

 

「じゃあ、コンテナ置き場で天日干ししてもらえますか?」
とお願いし、1日日光浴させてみたところ、無事匂いがとれました。

 

匂いが強いものの場合は、JRコンテナではなく日本石油輸送さんのコンテナをリースする場合もあります。保温性を高めるため内側がアルミ張りになっており、JRコンテナに比べて匂いが残りにくいのです。

 

そもそもどうしてJRコンテナにはベニヤが張ってあるのか、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。確かに匂いがつきやすいのは弱点ですが、ある程度の湿気であれば吸ってくれるという利点もあります。段ボールに水分は大敵。中には箱のまま量販店に並べられるものもありますから、湿気で外装が劣化してしまうのは避けたいところ。湿気の多いシーズンの頼れる味方です。また、積卸時の衝撃を緩和してくれるというメリットも。

 

どのコンテナで運ぶのが良いのか…様々な状況を鑑みながら、適材適所のコンテナが利用されています。

 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

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小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。